大阪市営地下鉄のメロディには様々な種類のものがあります。大阪での、所謂「ハツメロ」の発端は、
1990年に開業した鶴見緑地線ではじまりました。
そんな大阪の地下鉄のメロディを作曲したのは、大阪の作曲者ということで、「なにわのモーツァルトに作曲して貰った」という噂が…。
また、御堂筋線などに導入されている大阪市営汎用メロディの歌詞は、「きたきた、ちかてつ♪」である…?などなど。
今回は、そんな大阪市営地下鉄の発車メロディに関わる「謎」の真相を調べてみました。
「音をデザインする」、そんな土壌が出来上がってきた
大阪市営地下鉄に発車メロディが導入されたきっかけは、鶴見緑地線(現在は長堀鶴見緑地線)の京橋-鶴見緑地間がきっかけなのだそうです。
当時1990年に鶴見緑地で「EXPO 90' 花と緑の博覧会」が行われ、世界中からお客さんが来るこの路線は、当時最新鋭の「リニアで走る、自動制御された地下鉄」という近未来なイメージを持たれた路線でした。
そんな鶴見緑地線に、大阪市営地下鉄初のメロディが導入されました。
私もびっくりしたのですが、実はこのメロディ、現在長堀鶴見緑地線で導入されているメロディとはまた違ったものでした。
それがこちらです。
(ご教示頂いた超新型さん(http://tanimachi.mad.buttobi.net/)、ありがとうございます!)
ご覧頂けない場合はこちらをご覧ください
このメロディを作曲したのは、当時大阪芸術大学短期学部の講師であった藤本 由紀夫さん(公式サイト)なのだそうです。
日本美術オーラルのWebサイトに、こんなインタビュー文が記載されていました。
藤本:花博は直接関係しなかったんですけど、その前に今でも流れている大阪市の地下鉄の、列車警告音のデザインに関わったんですよね。大阪市の人から連絡があって、仕事として、基本コンセプトをつくるという仕事。
その次は花博のために、京橋から鶴見緑地まで新しい地下鉄の線のための、音のデザイン。
最初の計画では、各駅をトータルにデザインし、かつ全部違う音をつくるということだった。
当時はサウンドスケープデザインが盛り上がってた時期なんです。
日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ/藤本由紀夫インタヴュー2 ―2012年12月4日閲覧 http://www.oralarthistory.org/archives/fujimoto_yukio/interview_02.phpより
「今でも流れている」ということは、変更後の現在のメロディも藤本さんが作曲されたのでしょうか。
なんと各駅全て違う音を導入する計画だったようです。今の京阪電鉄がそれを行っていますが、
大阪市交通局は20年前にも前に、こんな計画を打ち出していた(導入には至りませんでしたが)んですね。
意味のある、大阪らしいメロディの歌詞
前述の長堀鶴見緑地線の発車メロディは、それぞれが当時の開業駅である「京橋」「鶴見緑地」を大阪弁で話したものをもとに、イメージして作られたのは比較的有名な話ですが、このページをご覧の皆さんはご存知でしょうか。
このように、メロディに「歌詞」を持たせているのは大阪の地下鉄特有のものですが、他のものにも意味をつけたものがあるそうなのです。
大阪の地下鉄は、終電前に5点のチャイムが鳴り、この後に終電案内の告知がなされます。
この5点チャイム、実は「かえりましょ〜♪」をイメージして作られているのだそうです。
「ノッテオリテ Vol.10」―大阪市交通局 2010年11月発行 より
終電時のメロディはこちら(1:04-1:08あたりです)
このように、様々なメロディがありますが、では地下鉄標準のこの到着メロディはどうなのか?
ネットを探してみると、「きたきた♪ちかてつ♪」であるだとか、「どけどけ♪ころすぞ♪」というブラックなものまで……(笑)
流石に後者は公営地下鉄という立場なのでまずないと思いますが(笑)、果たしてその真相はどうなのでしょうか。次回に続きます。
December 04th 2012. Series207