Osaka Subway WebOwner File #4: Osaka Subway × Web1.0
スーパー加越(Super-Kaetsu) http://doratomo.ddo.jp/hima-sta/
2006年に前身に当たるWebサイトを開設。その後リニューアルを経て現在のHima-Sta Plusを運営中。
大阪市バス、大阪市営地下鉄の知識からもたらされる、じっくりと読み込めるWebサイトは他とは一線を画す。
地下鉄だけでなく、「交通局全体」から見たサイト作りが特徴。配色やフォントにもこだわりを見せるなど、デザイン面でもその評価は高い。
「実は、行きたいところがあるんです。」
どこでインタビューをしようか考えていた折、そうやってスーパー加越さんに提案された。
向かった先は、大阪市営バス6号系統の終着地である住道矢田停留所。大阪市の南端に位置する。周りは閑静な住宅地で静かだ。
ここには、大きなバスがUターンする為の「転回所」があるそうだ。
「ここが、私のルーツなんですよ。」
そう言うと、バス停のベンチに腰掛けて語り始めるスーパー加越さん。なんでも「昔は、幹線/特/支線と、バスの中でも様々な立ち位置の路線があった」とか、
「ここにやってくる26号系統は、松虫通拡幅の際に需要に合わせて増設した」とか…、
たまたま横に座っていたご老人も熱心に耳を傾け、「ありましたね〜幹線系統って。」と、いつのまにかバス待ちの中での話に花が咲く。
住道矢田停留所。6号系統をメインに、26号系統がデータイムに走行する。あべの橋までは約40分程。
そんな大阪市バスに熱い情熱を傾けるスーパー加越さんに、30分おきにやってくるバスのアイドリング音を聞きながら、インタビューを開始した。
■異色の経歴の大阪市交通局ファン
―大阪市交通局を好きになったきっかけというのは何だったのでしょうか。
昔住んでいた家の前に、大阪市バスの特6号(現在のあべの橋〜住道矢田を往復する運用)が停車するバス停があって、その影響もあって3歳の頃から好きになって 、当時から母親を連れ回すほど好きだったんです(笑) 地下鉄から入ったわけでなく、あくまでバスの人間なんです。現在のWebサイトは地下鉄に重点を置いていますが、原点は市バスなんです。 一時期、大阪市交から離れていた時期もあったんですが、市バス10号系統の乗車担当がそれまでの長吉営業所から古市営業所へ変わったのを見て、「乗らなければ!」という想いから乗車していくうちに、再び興味が出て復活したんです(笑)
―では、大阪市営地下鉄を好きになったきっかけというのは何だったのですか?
最初に撮ろうと思ったのはWebサイトのネタ集めです。2004年頃?でしょうか。当時谷町線20系と中央線24系のトレード転属が始まった頃です。 「好きになったきっかけ」という点では、「なにわの地下鉄」さんの存在は外せませんね(笑) 元々市バス面でしか活動してなかったんですが、 鉄道系ではじめて掲示板に書き込みしたのが「なにわの地下鉄」さんでした。それから段々と「地下鉄のWebサイトも作りたい!」という想いが強くなっていったんです。 それから地下鉄に傾倒し始めていって、けいはんな線や今里筋線開業などのイベントをしていく内に、いつの間にか地下鉄へシフトしてきた…という感じです。他の大阪市営地下鉄好きさんから見れば異色の経歴かもしれませんね(笑) だいたいよく聞くのは「小さい頃から好き」だったとか、もしくは「阪急好きから地下鉄好きへ…」とかですね。
話をしていると、住道矢田停留所に青いバス(ブルーリボンシティ)がやってきた。なんでもこのバスはがここに来るのはかなり貴重な光景なのだそうだ。
―Webサイトをはじめたきっかけについて教えて下さい
作ろうかなあと考えたのは2003年の夏ごろで、大阪市バスを取り上げたサイトをつくりたいなあと思いました。作り始めたのが2004年頃から2年程かけてオフライン(WWWに公開せず、自分のPC内のみで)での維持運営を行ってきました。 やっぱり、完成させてから公開したいじゃないですか?(笑) 当時は今と違ってWikiPediaもありませんでしたし、それぞれのWebオーナーさんが"内容の濃い"サイトを作られていたように思います。 「今に残る幻の列車 急行能登」さん(http://members.jcom.home.ne.jp/noto/)というサイトさんなどはその代表格で、情報ギッチリ、かつ写真も適宜補っていっていて、そういったWebサイトを作りたいなぁと思ったのがきっかけです。 Webサイト名ですが、当時阪神タイガースが好きだったので、甲子園球場の場所の名前である「ヒマラヤスタンド」をそのまま拝借しました。そして現在のHima-Sta Plusになっています。略称ですので、この名前自体に何か意味がある訳ではありません。
■あくまで「交通局のファンサイト」・「Web1.0」にこだわり続ける
―Webサイトのこだわりは何かありますか?
昔のWebサイトって、先ほども申しましたが情報が非常にたくさん詰め込まれていてどっしりしたサイトだったんですが、ブログが普及し始めたあたりからでしょうか?Web2.0と呼ばれだした頃から「Webサイトの数」自体は増えたものの、情報の質という面においては低下したように思います。 Hima-Sta +2など、あくまで「Web1.0」にこだわり続けているという点でしょうか。私はあくまでコンテンツの「中身」で勝負したかったんです。ですので、Webサイト黎明期にあった「情報ガッチリ」のようなサイトを標榜としてサイト作りを行っています。 なので、これまで当サイトではブログや掲示板なども作っていませんでした。 ただ、最近になってTwitterを始めたのは時代に負けました(笑)
JR大和路線で「あすか」の事件もありましたが、あの事件が起こって以来、情報発信元としての責任も感じるようになりました。例えば無用に煽らないとか、Webオーナーとして、そういうことも気をつけています。
私は大阪市交通局のファンサイトであって、決して阪急のファンサイトではありません。どういうことかというと、例えば207系さんは「大阪市営地下鉄」のファンサイトですよね?そうではなくて、私はあくまで市バス・地下鉄両方を含めた「交通局のファン」なんです。 特に、なにわの地下鉄さんが出来て以来は特に地下鉄ファンの方が増えたように思います。地下鉄はわかるけど、バスはちんぷんかんぷん…という方が多くて、バス好き派としては寂しい限りです(笑)
―Hima-Sta Plusでは、全国でもめずらしい「日本城バス」を取り上げられていましたよね?
うちのWebサイトは市バスと地下鉄両方を取り上げているのはお話しましたが、丁度その頃鉄道はJRメイン、大阪市交通局は当時バスがメインでした。 そんな時、バスの新しいコンテンツを作ろう!と思い、当時まだ誰も取り上げていなかった日本城バスのファンページを作ろうと考えたんです。 でも、結局維持できなくなって、やめちゃったのが本音です。(笑) 2007-8年頃が一番大風呂敷を広げていたなぁという想いはあります。 余談ですが、春からここ(住道矢田)に現在の赤バス(平成25年3月で廃止)を引き継ぐ形で、日本城バスが乗入れてくるんですよ!地下鉄西田辺とを結ぶ路線の予定です。 赤バスより頻度が多い20分に1本の本数の予定なので、是非乗ってみてください!
インタビューを続けるバス停には、バスが続々とやってくる。水面に浮かんだ赤バスを、スーパー加越さんは熱心に写真を撮られていた。
―スーパー加越さんはフォントにお詳しいようですね。
「MS ゴシック」って見栄え悪いじゃないですか? Webサイトのデザインを考えるとき、これがどうしても気になったのがきっかけです。 良い文字のフォントを手に入れたいなあと思って、カメラよりはフォントに投資しています(笑) Myriad、M+ font、新ゴなどを持っています。初期投資は大きいですけど、その分リターンも大きいです。 喋っちゃいますけど、Webサイトロゴの文字も、これはガンプラさんというところのフォントなんです。メイリオを見た時は感動しましたね(笑)
■「加越」の由来と、空白の”好きな車両”
―お名前の由来は何なのでしょうか?
実はこの名前、画数占いで縁起が良いとなったので決めたものです。なので由来とかはありません(笑) Webサイトでよく「字数占い」ってあるじゃないですか?あれで決めました(笑) ですので、もしかしたら「スーパー加越」ではなく、「ハイパー有明」や「スーパー北越」「スーパー白山」になってたかもしれません(笑) ただ、加越に思い入れがないという訳ではなく、米原駅でボンネット型の485系が加越として運用についている時の写真も撮ってたりするんです。
これがボンネット485系の加越である。「せっかくなのでこれを見ている皆さんにも」ということで、今回こちらに掲示させて頂いた。 © スーパー加越
―好きな車両について教えて下さい。
一番好きなのは国鉄117系の原色です。祖父が奈良線沿線に住んでいたんですが、そこに行く為に乗車する列車が奈良線の快速運用についていたんです。今の「みやこ路快速」の前身ですね。 その時に「他所に行くとき乗る特別な列車」というイメージがついて(笑) 今まで湖西線を走行する臨時新快速に充当されるんですが、4年間の中で合計12日運用された日は欠かさず撮影に行くほどの117系好きです(笑)
117系の原色。登場当初は新快速で使用されたが、現在では湖西線の普通運用などに就いている。 © スーパー加越
―大阪市交通局の車両についてはいかがでしょうか
地下鉄に関しては、実は好きな車両というのはありません(笑) デザインもこれといって長けているという訳でもありませんし…。ただ、30000系に関しては良い意味で裏切られたなという感じではあります。 カッコいいですよね。交通局さんもだいぶ本気出して作られたんだなあと思います(笑) バスに関しては日野のブルーリボン90,91年式ですね。茶色い窓、座席が前向き、床が緑で木張りというものが好きです。マニアックですが(笑) ナンバーでいうと、[なにわ22 19xx,20xx]で、19は91年式の車両、20はレインボーの中型ということを意味します。
日野のブルーリボン91年式。スーパー加越さんのお気に入りの車両なのだそうだ。 © スーパー加越
―今、一番関心のある鉄道動向は何でしょうか。
JRの話になりますが、103系車両のユニットサッシじゃない初期のヘッドライトが元々1灯だったものをシールドビームに改造した初期のクハ車の動向が気になっています。 昔はいっぱい居たんですが、あれは残り少なくなっちゃって…。春のダイヤ改正以降に205系が来そうな気がするので、ちょっとそこが心配ですね。
―機材は何を使用されているのですか?
現在使っている機種は内緒です。(笑)
ルーツを辿れば、最初は使い捨てカメラから始まり、次にPENTAXさんのコンパクトフィルムカメラに移行しました。そしてその後に EXILM EX-Z40を手に入れ、LumixのFZ-7と渡ってきました。この後の機種はご想像にお任せするということで…(笑)
「バスを撮るのに、そんなに高い装備は必要ないんです(笑) 何よりも機動力が大切ですから。」と語ったスーパー加越さんにお持ち頂いた、EX-Z40。 一般的な価値観にとらわれず、適材適所で必要なツールを使いこなす姿は自分の意志で動く何よりの現れである。
―今後はどういったWebサイトつくりをされていきたいですか?
実は今回、その質問にお応えすべく、現在製作中の新しいデザインモデルのスクリーンショットをこのインタビューをご覧の皆様に公開させて頂きます!
出・血 大サービスです!
これまではマイナーチェンジを施していたのですが、今回はフルモデルチェンジでリニューアル致します! 大事なことなので二回言いますが、「出・血 大サービス」ですよ!笑 新しいHTML5とCSS3を採用して装いも新たにコンテンツを製作してまいりますので、どうぞお楽しみに!
今回は特別に、新しい「Hima-Sta Plus」の開発中画面を見せて頂いた。配色のセンスがクールであり、新ゴが更にそのイメージを増長させている。実にカッコいいデザインだ。 © スーパー加越
Webデザインにもこだわるスーパー加越さん。実は、ここで書けないようなサイトの更新計画まで色々と練っておられるのだそうだ。
ヘビーでどっしりとした、Hima-Sta Plusの更新がこれからどうなっていくのだろうか。多彩なコンテンツを作成されるスーパー加越さんに期待したいところだ。
Hima-Sta Plus
http://doratomo.ddo.jp/hima-sta/
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Interview:Series207/α77+SAM35F18